燃えよドラゴンズ

弱小球団応援ブログ

【なぜ暗黒時代に陥った?中日ドラゴンズ】

新監督という病

日本経済新聞に連載された故豊田泰光選手のコラムは、簡潔な文章と深い洞察に溢れた内容が好きだった。
この度、古書を見つけて購入したところ、現代にも通じる内容に驚いた。

 西鉄時代の川崎徳次さんに始まって、五人の「新監督」に仕えた。その経験でわかるのだが、共通の失敗のもとは「自分の色を出したい」という新監督ならではの気負いだ。晴れてトップに立った人にそう思うなともいえないが、とにかくそこに落とし穴になりやすい。

 前の監督とは違う何か。そこを強調するには二つの方法がある。まず作戦。動くことでアピールする。近鉄・梨田監督の投手起用延べ人数はリーグで抜きんでていた。これだけで断定してはいけないが、「じっとしていられない」という古今通じて変わらない新監督の心境がうかがえないか。動かないことも仕事のうちと思えるようになるには時間がかかるものだ。もう一つの方法は新しい人材の登用。前任者の遺産を生かすだけでは能がないと、ベテランを切り、新人を引き立てようとする。

 私もそれでサンケイ時代に悲哀を味わった。当方の力も落ちていたから、ことの是非は第三者の判断を待つほかはないが、若い選手より私の方がまだ上と思ったこともしばしばだった。

 (中略)

 仰木は、1996年のオリックスの日本一で「仰木マジック」という彼の色が固まったが、それまでは「三原監督のコピー」といわれた。恩師に擬せらけるのは名誉なことで、その評に抗する必要もなかったろう。

 しかし、イチローの抜擢など、好成績を残してきた裏には「仰木オリジナル」の才があったはずだ。それでも彼は勝ちさえすればコピーでも何でも結構という態度を貫いてきた。これが"長期政権"の秘訣。

 これから監督になろうという人には、ぜひ仰木方式をお勧めしたい。

 (中略)

 以前は打たれた投手を継投させて制裁としたり、二軍落ちを見せしめの材料にするという監督も見られたが、そういう戦前、戦中派的な手法はもう通用しないと思った方がいいだろう。

 求められているのは古いタテ型社会と離れたやり方、監督像だ。そう考えると、あのボビー・バレンタイン(元ロッテ、現メッツ監督)が、今でも日本の球団の監督候補としてしばしば名を挙げられるのもわかる。

           

人間に100%を求めてはいけない

優勝チームの監督はこんなに違う

阪神タイガースが38年振りの日本一に輝いた。
岡田采配が際立っていた。
重要視したのは、各選手のポジション固定。
一人の選手が色々なポジションを守れるというのが理想だが、そんなスーパースターはそういない。
仕事を明確化した方が選手はやりやすい。
選手の適性を見極められないとポジション固定は難しいが、わがドラゴンズの監督は、根尾一人に対しても内野手→外野手→内野手→外野手→投手という有り様。


また、岡田監督の優れた点は、二軍の試合もくまなく見ていることだ。
村上や大竹の抜擢は、そこから生まれた。
好き嫌いで選手を使う、どこかのパワハラ監督とは違う。


育たないドラフト一位

わが中日ドラゴンズはなぜ二年連続最下位という屈辱に陥ったのか?
チームを強くするにはドラフトと育成が大きなカギを握るが、仮に中日が森下(阪神外れ一位)のような新人を取ったとしてもあのように活躍できたとは思えない。中日首脳陣が選手を使い捨ての駒のように見ていることは、近藤簾の晒し投げを見ても明らかだ。
無能な指揮官ほど責任を選手に押し付ける。


しかし、あながち現監督の責任だけとはいえない。
根尾や他のドラフト一位の野手( 平田良介、堂上直倫、田中大輔、野本圭、高橋周平、石川昂弥)の成績を見ても中日の育成力は12球団の中で最悪レベルといえる。
平田は成功例じゃないかと思われるかもしれないが、看板打者になってもおかしくない本来の実力からすると、守備型の選手として小成した感が強い。
中日の育成は、 角を矯めて牛を殺すというもの。

どんな愚かな者でも、他人の短所を指摘できる。そしてたいていの愚かな者が、それをやりたがる。~ベンジャミン・フランクリン~

かくしてダイヤの原石はいつの間にか輝きを失っていった。
今や中日は、プロ野球全球団の中で一番入りたくないチームだ。
2023年ドラフトで中日が一位指名したのは度会選手だったが、中日が籤を外した瞬間、何とも言えない表情を見せた。現在横浜で開幕から連続本塁打と大活躍を見せたが、中日に入っていたらどうだっただろう?
少なくとも大好きなお米は食べられなかっただろう。


※ここでは敢えて森山暁生投手の悲劇には触れない。悲惨過ぎて語る言葉がないからだ。高卒一年目でまだ身体ができていない彼は二軍で酷使され故障、それに対して球団が出した回答が戦力外通告。責任を取るべき片岡二軍監督が来季一軍ヘッドコーチというのに怒りがこみあげてくる。二軍投手コーチの山井も一軍に昇格。
魚は頭から腐る


100%を求めてはいけない。

かつて巨人長嶋監督はすべての試合を勝とうとした。
「見ているお客さんのためにベストを尽くしたい」
さすがMr.ペースボール。
対して中日監督に就任した落合博満は、開幕戦に川崎憲次郎を※を起用し、エース川上憲伸を温存した。三連戦のうち相手のエースには当て馬をぶつけ、他の二戦を勝つという戦略だった。
どちらの監督が結果を残したかは言うまでもない。


ちなみに今年立浪監督が選んだ開幕投手は小笠原新之助。切り札をいきなり出した上に後先考え図145球を投げさせた結果、エースらしからぬ7勝12敗という成績に終わった。
タッツは長期戦略のない長嶋監督型だ。
それは、捕手木下が怪我したというので、捕手を確保するために郡司・山本というプロスペクト選手を放出した近視眼的なトレードでわかる。
おかげで若い石橋捕手が成長する機会を失ってしまった。
この事件があって後、西山バッテリーコーチは退団した。

岡田監督「最下位が何ぬかしとんじゃ!」中日の立浪監督が優勝チームの岡田阪神を評価!「阪神の野球はですね…」衝撃発言で球界騒然【プロ野球】



落合監督は、野手についても完璧を求めなかった。
何か一芸に秀でていれば良しとし、非力だった荒木を使い、井端とともに黄金の二遊間を作った。
点を与えないことは、点を取ることと同等の意味があるという考えだ。
自身は二度の三冠王に輝きながら、選手にはそれを求めなかった。


しかし、現中日監督の立浪現監督の考えは違った。
自身の現役時代と同等の選手を求めた。
守備に秀でた選手には打撃を求め、打撃に秀でた選手には守備を求め、思い通りにならないと放出し、新人にその夢を求めたが、当然満たされず、次のドラフトでもその夢を求めた。
かくしてチーム編成が歪(いびつ)なものになってしまった。


その上、自分自身の現役時代の価値観からか、打者にはOPSより打率を重視、短打と走塁に主眼を置いた若手育成プログラムを作り、打線が小粒になった。
一発のない打線には相手ピッチャーは恐れず向かってくる。
当然与四球も少なく、残念ながら打率も上がらなかった。

※川崎憲次郎は星野元監督がヤクルトからFAで獲得した負の遺産。メジャー移籍を図っていた彼をメジャー並みの厚遇を餌に強引に引っ張ったが、ほとんど働かなかった。
金村義明(近鉄より)、大野翔太(日本ハムより
)などと同様、中日のFA失敗史のひとつに数えられる。

お前の口から「戦力外」って


メディアでは語られていない平田良介さんが戦力外通告を受けた話 #西岡剛 #プロ野球 #中日ドラゴンズ #野球選手 #大阪桐蔭 #wbc
「勝ちに不思議の勝ちあれど、負けに不思議の勝ちなし」
ドラゴンズが二年連続最下位に落ちたのには何の不思議もない。
監督が、正しい指針を示さなかったからだ。
チームの貢献度を考えれば、本来戦力外となるべきは、立浪和義監督だった。
長打力を買われてドラフト二位で指名された鵜飼航丞は、自分が、ホームランを求められているのか、短打を求められているのか分からないまま打席に立ち、最後まで迷いを断ち切ることができなかった。
これは、かつて高橋周平が通ってきた道だ。
そして守備力を買われて正遊撃手の京田を追い出した龍空は、打力不足によって中途半端な起用に終わった。
これは、かつて京田陽太が通ってきた道。
比類なき守備力を持ちながら、立浪臨時コーチの時代からの熱心な打撃指導の結果、自分の持ち味を失い、迷いは守備にも悪影響を及ぼし「戦う顔をしていない」と放出された。
選手は個人事業主。コーチや監督の言う事を聞いて給料が上がるというなら別だが、成績が悪ければクビになる。
お気楽な監督・コーチとは立場が違う。


さらに不可解なのは主力打者であった阿部寿樹二塁手の放出。
「若返りを図る」といいながら代わりに獲得した涌井投手はチーム平均年齢を押し上げた。
そして二遊間を守っていた選手を放出した結果、ドラフトでは二年連続で内野手を補強することになった。

「即戦力」の期待はすぐに「即戦力外」と変わり、貴重なドラフト上位枠を無駄遣いした。
来年のドラフト一位候補には、宗山塁という逸材がいるが、どうするつもりだろうか?
内野手の最年長がプロ二年目の福永となるような歪なチーム編成。
自分が内野手だったから、他のポジションを軽視する姿勢が透けて見える。

宗山塁選手/明治大学(3年)大学生NO.1の守備映像(2023年春季リーグ戦)
まあ、イケメンはドラゴンズに似合わない。


オシム監督に学べ

抜群の実績からサッカー日本代表監督に推された故オシム監督は、選手を「リスペクト(尊敬・尊重)」することが重要だと考えた。
さらに今はまだ成長期の新人たちが一人前の選手になる頃に何が大切かを予測・想像する「イマジネーション」が決定的に重要だと。


オシム監督は、選手たちが自分たちで判断してプレーする手助けをすることが指導者の仕事だと考えた。
選手たちが自分で向上しようと努力する手助けをしてやることが大切だと。
これは落合ドラゴンズの考えに通じる。
そして立浪ドラゴンズは、真反対の考えのようだ。
今の選手が自分のことを考えれば「脱浪」となる。亡命者が二人も出るのも当然といえる。
私ならこの監督のために指一本動かすのも嫌だ。

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「マネー・ボール」を読め

貧打線を救うためには

今年、阪神タイガースがリーグ優勝した要因について皆が口をそろえるのは、四球を重視したことだ。
「フォアボールは安打と同じ」開幕前に岡田彰布監督が行ったのは、四球の査定ポイントを上げたことだ。これによって劇的に四球が増えた。
四球は意識すれば増える。四球が増えれば出塁率が上がる。


  1. 打者はすべて、一番バッターの気構えで打席に入り、出塁を最大の目標とせよ
  2. 打者はすべて、ホームランを放つパワーを養え。ホームランの可能性が高ければ、相手ピッチャーは慎重になるので、四球が増え、出塁率が上がる。
これが「マネー・ボール」(M・ルイス)が説く、出塁の勧めだ。

本来二軍選手への教えで、アスレチックの球団社長サンディ・アルダーソンが傘下の3A以下の選手に浸透させ、抜群の効果をもたらした。


近藤健介から学べ

日ハムにいた頃、近藤健介は短打型のバッターだった。
それが今季、ソフトバンクにFA移籍してホームラン王に輝いた。
開幕前に単身渡米し、米シアトルのトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」の動作解析を用いてホームランを打つために科学的な診断を受け、体力と打撃フォームを改良、技術を磨いた。


データ活用を重視せよ

このような惨状では選手の給料も上がらない。
そもそもちゃんと実力に応じた給与査定を行っているのか?
援護率が低く勝ち星に恵まれなかった柳裕也や高橋宏斗のような投手に対してちゃんと評価してほしい。
馬鹿な監督の最大の被害者は彼らだ。



「マネー・ボール」以上のデータ野球を目指す球団が導き出した強くなるための方法は「負ける」こと - GIGAZINE